第1章「お肉の話」

牛革は、食肉加工の過程で生まれた副産物。

革をつくるためだけに、牛を殺めることはありません。

つまり牛革って、[お肉ありき]なんですね。

ということで、まずはお肉の話から始めたいと思います。

旧石器時代から縄文時代、日本全国で狩猟によって肉が食べられていました。

しかし飛鳥時代になり、天武天皇が仏教を厚く信仰してたからとか、神道の考えもあったらしいとか、諸説あるようですが、[肉食禁止令]というものを出したらしく、明治天皇が肉食解禁の令を出すまで、肉食ったらアカン!っていう風習が、なんと1200年以上も続いたそうです。

今の時代なら、私をはじめ肉好きにはきっと耐えられない禁止令だと思いますが、肉食解禁後も庶民たちは慣れてないからすぐには食べれず、牛鍋やすき焼きが考案され、少しずつ食べれるようになっていったそうです。

同じく明治時代から、武器をつくるための工業用ベルトや軍靴など、戦争のために牛革が本格的に使われるようになり、それからいろんなことがあって、現在、様々なお肉、様々な革製品があふれる世の中になったわけですが、、

数年前、あるスーパーで店員に怒鳴り散らしてるご婦人を見かけましてね。

「鳥肉の皮に毛が付いてた!その毛を見た子供が鳥肉を食べれなくなった!」って怒ってるんですよ。

その時、世も末だな、、と思いましてね。

いやいやご婦人、子を育てる親ならば、
「屠殺の現場を見て、その肉が食えないなら、肉を食うべからず」
そのくらいのことを言うべきではないでしょうか?と。

そういう人は自分で使っている革製品が、動物から引っ剥がした皮でできてるってことを認識してないんじゃないかなと思ったんですよ。

なぜこんな話からスタートしたのかと言いますと、、

革というものは、人工的につくられた素材ではない、
命をいただいた尊いものだ

ということを常に意識しながら、革に対する想いを皆さんと共有できれば嬉しいなと思い、前置きとしてこのような話をさせていただきました。

人は太古から動物の肉を食べ、その皮をなめして身にまとい、寒さや怪我から身を守りながら生きてきました。

いただいた命は少しも無駄にせず、全て大切に使い切るという、先人の知恵や想いが詰まった素材、それが革なんです。