ここからは、Sベンズレザーをつくっているタンナー[昭南皮革工業所(しょうなんひかくこうぎょうしょ)]を見学させていただいた時の写真と共に、[Sベンズレザーができるまで]をお伝えしたいと思います。

聞きなれない言葉を羅列されても、あまり読む気にならないと思うので、これを知ったら面白いだろうなと思うポイントだけをお伝えします。

塩漬けにしてやってくる牛の皮

Sベンズレザーというのは、北米産の上質な原皮のみを使用しているのですが、その原皮は腐らないように、なんと[塩漬け]にして運ばれてくるんですね。

写真で白く写っているのが大量の塩です。

このように、毛もついたままの状態で、塩にまみれています。

皮の下ごしらえ

まずはこの革に付いた塩や汚れを落とさなきゃいけないわけですが、そこで登場するのがこちらのドラム。

温度管理のため、木でできています。

ドラムの内部にはこのような突起が付いていて、この中に原皮を入れ、グルングルン回転させて水洗いするんです。

この写真だと、ドラムの大きさが伝わるかと思います。かなりデカイです。

水分を含んだ原皮を、この中に出し入れするだけでもかなりの重労働なのが想像できますよね。

塩漬けの原皮を水洗いすることで、塩や汚れを落とし、皮は水分を補い、生皮に近い状態に戻ります。

そして次の日、[石灰漬け]にして一日かけて脱毛します。

その後、脱灰と言って石灰分を取り除き、酵素によって不要なタンパク質を取り除き、皮の表面を滑らかにしていきます。

脱灰後の皮はこんな感じで、真っ白になります。

実はこれが原皮本来の色なんです。

染色を施してない、いわゆる肌色の革を見たことがあるかと思いますが、あの肌色は、タンニンでなめした後の、タンニンの色なんですね。

ちなみに店に来られた方が、「革のいい匂いがするわ♪」とおっしゃってくださいますが、あの革の匂いというのも、主にタンニンの匂いなんです。

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