皮を革に変えることを[なめし]と言います
さて、ここから革の話にいきましょう。
SWLで使用している[Sベンズレザー]は、北米産の上質な原皮を使い、日本のタンナーにより、[タンニンなめし]でつくられている牛革です。
原皮(げんぴ)というのは、このような牛から剥がした状態の皮のことです。
この皮の状態のままだと、腐ったり、硬くなったりするので、製品として使えるように加工することを[なめし]と言います。
そのままでは腐ってしまう[皮]をなめすことで、製品として使える[革]になります。
この[皮]を[革]にする仕事に従事している職人さんや会社を[タンナー]と言います。
また植物から抽出した[タンニン]を使ってなめすことを、[タンニンなめし]と言います。
人類が初めて身に付けた衣類は「皮」だと言われています。
大昔、まだなめしの技術がなかった時代は、皮はすぐに腐っていたでしょう。
しかしいつの頃か、倒木のそばで死んだ獣の皮や、染色のために草木の汁に漬けた皮が腐らないことから、
「植物に含まれるなにかしらの成分で、皮を腐らなくできるんじゃねぇか?」
って、タンニンなめしを発見したらしんですよね。
人間の知恵って素晴らしいですよね。
また死んだ動物の皮が、植物に含まれる成分により、生き長らえる不思議。
地球って面白いなと、改めて思います。
クロムなめし と タンニンなめし
そして19世紀後半になると、薬品を使用したなめし技術が開発され、金属を原料とした[クロムなめし]が誕生しました。
クロムなめしは、作業時間が短く経済性に優れることから、革の量産が可能になりました。
クロムなめしでなめした革は柔らかく、革ジャンなど衣料用にも広く用いられています。
そんな効率的ななめし技術が進化した現在でも、紀元前から続くなめし方法である[タンニンなめし]で革をつくるのには、やはり理由があります。
タンニンなめしでつくられた革は、なんといっても丈夫で、伸縮性が少なく、型崩れしにくい。
また比較的キズは付きやすいですが、使い込むほどに味が出るという点も、大きな魅力だと思います。
タンニンなめしは、クロムなめしと比べると、とても時間がかかる手法です。
ただ、天然の素材を、天然の素材でなめすからこそ生まれる‘天然らしさ’とでも言うのでしょうか。
そういったものが、多くの人を魅了し続けているのだと思います。