こんばんは。
SWL leather works(エスダブルエル レザーワークス)店長の田島いづみです。
4月1日に実店舗をクローズしてから3週間、不安な状況はどこも同じですよね。
今は大きな仕入れはできず材料は少なめですが、いつもより少し時間に余裕はあります。
そんな時間を使って、ウイルスが収束したら店頭で手に取っていただきたいアイテムを、少しずつ、つくり貯めています。
その中の一つ、SWLで最も贅沢なアイテムと言っていい、あのバッグの製作を少しずつ進めています。
多分、前代未聞の
4種類の革を使ったショルダーバッグです。
ご愛用くださっている方も多い人気アイテムではあるのですが、あまりにも材料・時間・手間が多くかかってしまうので、余裕がある時にしか製作できないバッグです。
その名も
QUATTRO LEATHER shoulder bag
まずは2種類の革が登場。
手前が【KUDU(クーズー)】、奥が【Sベンズレザー】です。
4種の革の特性を活かすように、適材適所に組み合わせたショルダーバッグ。
製作している時も、それぞれに異なる4種の質感や表情の違いを楽しみながらつくっています。
【KUDU】と【Sベンズレザー】が縫い合わさっただけでも、「お互いをひきたて合っていて、美しいなー」と眺めてしまいます。
さらにここから、異なる革を縫い合わせていきますよ。
新たに出てきたのは、イタリアで鞣された牛革【エルバマット】です。
今は新型コロナの影響で輸入が止まってしまって入ってこない革だそうです。
【Sベンズレザー】の両側に【KUDU】と【エルバマット】が縫い合わされました。
鞣されている場所で言うと、日本を中心に、右がイギリス、左がイタリアです。
そう考えると面白いですね。
QUATTRO LEATHER shoulder bagの製作が久々なので、この組み合わせを見るのも久しぶりで、
やっぱり何かすごいなーって見ちゃいます。
原産国も動物も鞣し方も、色々違ったものがお互いを補うように集合している。
こんなアイテムを製作できる環境も、恵まれているなと感じています。
てな感じで悦に入っていると、久々でポケットを縫い付ける工程を、すっ飛ばしていることに気付きました。^^;
本当は一番初めてに縫い付けておくはずの内ポケットを、ここから縫うことに。
と、ここでこれまでに紹介したことのない、地味な工程を写真に撮ってみることにした。
[糸を用意するところ]です。
SWLでは、動物の健を人工的に再現した【シニュー】という手縫いでしか縫えない糸を使っています。
写真の左の巻いてあるやつです。
縫うために用意するシニュー糸の長さは、縫う距離の3倍+25cmくらいです。
その長さにシニュー糸を切ったら、次に太さを調整します。
▼下の写真の手前を見ていただくと分かるように、シニューは髪の毛よりも細い糸の集合体です。
それを写真上のように5分割にします。
5分割にしたうちの2本が、使うシニュー糸の太さです。
それに、蜜蝋を主成分としたワックスを擦り込みます。
これには、シニュー糸の毛羽立ちや擦り切れや緩みを抑える役割があります。
ワックスを擦り込んだシニュー糸をよって、これで縫う準備が整いました。
内ポケットを縫い付けて、また次の工程に移ります。
オーダー品の製作の合間に進めているので、少しずつですが、この状況が落ち着いた時には見ていただけるように仕上がっていると思います。
楽しみにしていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。